森と氷河と鯨
ワタリガラスの伝説を求めて
星野道夫。
本の帯に、
星野道夫が遺した
魂の旅の記録、と、
ある。
星野道夫さんは、旅をする写真家だ。
彼の撮る写真は、
彼を表現するそのものだ。
ほんとに写真だけでも、
見てほしい。
なんて、静寂なんだろう。
海から鯨が踊る世界でさえ、
静寂を感じる。
綴る文字の一字一句が、
大地と、空気と、イツクシミしかない。
なんて、あいしかないんだろう。
写真から伝わる
張り詰めた空気。
それは、地球の呼吸。
道夫さんが、
ワタリガラスの伝説を追い、
独り、カメラと身体と、
ペンとノートを持っての
たましいの旅。
ホノオを燃やせてるか。
自分にとう。
彼は、熊の写真を撮る。
でも、熊に命をとられる。
覚えいる。
その時の記憶。
その熊は、人が関わった熊だった。
警告。
地球の中に生きる。
ヒトも、自然の一部なのだ。
なのに、
いつか、ヒトが一番だと。
アラスカに伝わる、
ワタリガラスの神話に
ひかれて
始まっ旅は、
思いもよらぬ方向へ
導びかれる。
本の中で、
ワタリガラスの家系のインディアンに
出逢い、かれから聴いた、
大切なたましいの物語。
それを絵にしてみた。
物語は、こう語られている。
、、、、、
たましいのことを語るのを
決してためらってはならない。
ずっと昔の話だ。
どのようにわたしたちが
たましいを得たか。
ワタリガラスが
この世界に森をつくった時、
生き物たちは
まだたましいをもっていなかった。
人々は森の中に座り、
どうしていいのかわからなかった。
木は成長せず、
動物達も魚たちも
じっと動くことはなかったのだ、、、。
ワタリガラスが、
海辺を歩いていると
海の中から
大きな日の玉が上がってきた。
ワタリガラスはじっと見つめていた。
すると1人の若者が
浜辺の向こうから
やってきた。
彼の嘴は素晴らしく長く、
それは一羽のタカだった。
タカは実に早く飛ぶ。
「力を貸してくれ」
通り過ぎてゆくタカに
ワタリガラスは聞いた。
「力を貸してくれ」
3度目にワタリガラスが聞いた時、
タカはやっと振り向いた。
「何をしたらいいの」
「あのホノオを取ってきて欲しいのだ」
「どうやって?」
ワタリガラスは森の中から一本の枝を
運んでくると、
それをタカの嘴に結んだ。
「あの火の玉に近づいたなら、
頭を傾けて、
枝の先をホノオの中に
突っ込むのだ。」
若者は地上を離れ、ワタリガラスに
言われた通りにホノオを手に入れると、
ものすごい速さで飛び続けた。
ホノオが嘴を焼き、
すでに顔まで迫っていて、
若者はその熱さに
泣き叫んでいたのだ。
ワタリガラスは言った。
「人々のために苦しむのだ。
この世を救うために
ホノオを持ち帰るのだ」
やがて、若者の顔はホノオに
包まれはじめたが、
ついに戻ってくると、
そのホノオを、
地上へ、
崖へ、
川の中へ投げ入れた。
その時、
すべての動物たち、
鳥たち、
魚たちは
たましいを得て動き出し、
森の木々も伸びていった、、、。
、、、それが、
わたしが、
おまえ達に残したい物語だ。
木も、岩も、風も、
あらゆるものがたましいをもって
わたしたちをみつめている。
そのことを忘れるな、、、。
これから時代が大きく変わって
いくだろう。
だが、
森だけは、
守ってゆかなければ ならない。
森は、わたしたちに、
あらゆることを教えてくれるからだ。
わたしがこの世を去る日が
もうすぐやってくる、
だからしっかり聞いておくのだ。
これは、わたし達にとって
とても大切な物語なのだから。
本より、抜粋しました。
この本を読みながら、
星野道夫さんと一緒に
旅をすることができます。
わたしも、独り、旅をする。
もやせよ、イノチのホノオ。
そして、忘れてはならない。
あらゆるものが、
たましいをもって、
われわれをみつめている。
、、、こと。
星野道夫さん、
どうもありがとうございます。
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