目を瞑る。

腹の底に、黒い大きな塊を
感じる。

足元に、青い世界。

水の中。
海の中。

深く、深く。

黒い塊は、動く。

ぎー、がしがしがし、、、
ぎゅるるる、、、
ぎー、がしがしがし、、、
ごーーー、、、

くじらだ。

ぎー、がしがしがし、、、
ぎゅるるる、、、
ごーーー、、、

わたしの中にくじら。

なんて、雄大なんだろう。

深い音。
深い声。

わたしの中を。
地球の中を。

彼は自由に泳ぐ。

「ああ。
マジェランの星雲だ。
さぁ、もう、きっと、
僕は僕のために、
僕のおっかさんのために、
カムパネルラのために
みんなのために、
ほんとうの
ほんとうの
幸福をさがすぞ。」

ジョバンニはくちびるをかんで、
そのマジェランの星雲を
のぞんでたちました。

そのいちばん幸福なその人のために。

「さぁ、
切符をしっかり持って
おいで。
おまえはもう
夢の鉄道の中でなしに、
ほんとうの世界の火や
はげしい波の中を
大股に
まっすぐに
歩いていかなければ
ならない。
天の川のなかで
たった一つの
ほんとうの
その切符を
けっして
おまえはなくしてはいけない。」

宮沢賢治、銀河鉄道の夜より。

ぎー、がしがしがしがし、、、
ぎゅるるる、、、

「僕
きっと
まっすぐに
進みます。

きっと
ほんとうの幸福を
求めます。」

ほんとうの幸福って、なんだろう。

貴方は、知ってる?

ぎー、がしがしがし、、、
ぎゅるるるるる、、、

そっかぁ。

 

#くじら #宮沢賢治 #銀河鉄道の夜 #本当の幸福 #海 #水 #内なる世界

カテゴリー: